ひじきに含まれる無機ヒ素は戻し方によってその量をより減らすことが出来るとこちらでご紹介しましたが、でもちょっと待って。
それってひじきの栄養分も減ってるってことなんじゃ!?
乾燥ひじきの戻し汁は料理に使わない方が良いし、そうするとひじきを食べて得られる栄養分って果たしてどれくらい残っているのか?
今回は乾燥ひじきを戻した際の、ひじきの栄養分についてご紹介します!
ひじきの無機ヒ素って何?という人はこちらから
>>ひじきは体に悪い!?ひじきには有害な毒素、ヒ素があるって本当?
ひじきを戻したら栄養分も減ってしまう?
農林水産省の調査では乾燥ひじきの無機ヒ素を減らす実験の際に、それに伴うひじきに含まれる栄養素への影響についても調べています。対象栄養素は鉄分、カルシウム、食物繊維の3種類。
調査方法はヒ素量と同じで「水戻し」「茹で戻し」「茹でこぼし」の3つです。
●鉄分
乾燥ひじきの鉄分は、乾燥ひじき100%>水戻し約85%>茹で戻し約80%>茹でこぼし約70%の順で鉄分量は少なくなるが、いずれも70%以上は残る
●カルシウム
乾燥ひじきのカルシウムはどの戻し方でも殆ど減らない
●食物繊維
乾燥ひじきの食物繊維は、乾燥ひじき100%>水戻し約85%>茹でこぼし約85%>茹で戻し約80%で、いずれも80%以上残る
また東京薬科大学、中央水産研究所の実験では、乾燥芽ひじき・長ひじきをを戻した時の無機ヒ素、マグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄の含有量を調べています。
使用する戻し液は水、20℃、40℃、80℃で、戻し時間は5分、10分、20分、30分、60分、120分後。
これによると
●各成分の溶出率
無機ヒ素は芽ひじき75~95%、長ひじき55~90%が溶出
他の栄養素は50%以上が残っていた
●温度上昇に伴う溶出率
ひじきの無機ヒ素溶出量は増加
マグネシウム、カリウムの溶出率はわずかに増加
カルシウム、鉄の溶出率は殆ど変化しない
(時間軸によるより詳細な数字を知りたい方は調査書を御覧下さい。)
ただ、水の温度の違いによるこれら溶出率の違いが何に起因しているかは明らかではないとのことです。でも温度が高い方が、無機ヒ素もだしマグネシウムとカリウムも溶出しやすくはなるんですね。
そしてこの実験結果より、無機ヒ素を多く除去できて且つ栄養素ミネラルをより多く保てるひじきの戻し方は
- 芽ひじきは40℃で20分
- 長ひじきは40℃で60分
が適当であると結論付けています。
また水やお湯で戻しても、数値は減るもののひじきはミネラル補給源として有効であるともしています。
ということなので、ひじきは適切な調理方法をとって食べすぎることがなければこれからも食べて問題ない食材、と言って良いと思っています。ひじきには鉄分があるので貧血対策に今まで食べてきていたこともありちょっと心配だったのですが、今回自分でも安心できて良かった~というのが正直なところです^^
ひじきは戻しても栄養素が残る?まとめ
ここまでひじきの毒性やその除去方法、また栄養素についてご紹介してきました。
はじめにご紹介した英国食品規格庁の勧告内容、ここではひじきの調理方法については言及していないようです。調査対象のひじきは日本のひじきですが、どういう風に調理したらそういう数値になったのかという詳しいことはわからないみたいですね。
ひとまず日本では乾燥ひじきでも生のひじきでも水洗いをしたり加熱加工したりなんだりと色々処理をしてから食べますし、また自分で調理する場合にも上記でご紹介したような処理方法を行ってから食べてもらえたら良いと思います。
海藻中のヒ素化合物の多くは毒性のほとんどない有機ヒ素化合物で、たとえ摂取されても比較的短時間で体外に排出されて蓄積されることはないことが報告されているそうです。
またこれまで日本人がひじきなどの海藻を食べ続けてきているのにヒ素中毒になった等の健康被害報告がないのは、通常の摂取範囲内なら体内で無機ヒ素を有機ヒ素化合物に代謝する機能があるからではないかと考えられていて、そういう実験結果も実際にあるみたいです。(参考:株式会社いせこ)
厚生労働省によれば、体重50kgの人が毎日4.7g(1週間当たり33g)以上を継続的に摂取しなければヒ素の過剰摂取にはならないとしています。ちなみに日本人のひじきの1日あたりの摂取量は約0.9gだそう。
▲ひじき4.7gはひじき煮の小鉢およそ1/2杯
また先の株式会社いせこによると、ヒ素の摂取許容量を越えるためには(仮に代謝されないとして)1日に乾燥重量で7㎏のひじきを摂る事が必要という試算もあるんだそうです。
1日にひじき7kg…
私が使っている乾燥ひじきはこの大きい袋で500g入り。
ひじきは戻すと8~10倍くらいに膨らむので、たとえこの1袋全部を食べたとしても5kg。
え、まだ足りないよ!?
とてもじゃないけど現実的な数字ではないですね~^^;大食いファイターでも飽きてしまうでしょうw
そうそう、なので、乾燥ひじきを戻す際には使うひじきの10倍よりちょっと多めの水やお湯で戻すのが良いですね◎
▲シンプルだけどポイントはちゃんと抑える!人気料理研究家奥薗さんの乾物レシピが沢山♪
ひじきに毒性があるなんて考えたこともなく今まで食べてきていましたが、でもその言葉だけを鵜呑みにするのもまた違うよなとも思います。マグロには水銀が含まれていると言われていたり、昆布の食べ過ぎでヨウ素が~というのもあるし、塩だって砂糖だって、摂り過ぎも摂らなさすぎも良くないし。
勿論考え方はそれぞれなので、どうしても気になるとか怖いという人は無理してまで食べる必要は全然ないですよね。代替品も何かしらあるでしょうし◎
どんなもの程度の問題であって、適量を守って食べる分には健康に役立つものが多いと個人的には思っています^^♪
海藻を積極的に摂取する「藻活」、ご存知ですか?
貧血の方にはこちらも。
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