果実酒を作るときは砂糖を加えるのが一般的とされています。
でも甘いお酒は苦手だったり砂糖を摂るのを控えていたり、できれば砂糖を使いたくないという人もいますよね。
私もどちらかと言うと甘みの少ないお酒が好きなので果実酒を作る時に砂糖なしで作れないのかな?と思ったんですが、実際に砂糖なしで作ると何か問題はあるのでしょうか?
果実酒の砂糖の役割は?
果実酒を作る時に砂糖を入れるのはなぜでしょう?
私は甘みをつけるために入れるんだと思っていたんですが、実はそれよりも大きな役割が砂糖にはあります。
果実酒に入れる砂糖の役割には2つあります。
それは、果実酒を飲みやすくする為と成分を抽出しやすくする為です。
1、仕上がった果実酒を飲みやすくする
都度果実酒の甘みを確認しながら後から砂糖の量を調整することは可能ですが、たとえば始めから砂糖を入れるとの漬け初めて1ヶ月後に砂糖を入れるのとでは味の馴染みに差が出ます。結果的に入れる砂糖の量が同じだったとしても入れる時期によってその味わいは変わってきます。
2、漬ける果実の成分を抽出しやすくする
仕上がった果実酒を飲みやすくすることも大事ですが、でも砂糖の役目としてはこちらの方がより重要。
そもそも果実酒とは、果実の中の糖分やエキス分をお酒に取り出したものですよね。それによって得られる果実の味わいや香りをお酒として楽しむ訳ですが、この果実の糖分やエキスをどうやって取り出すのか?
その為に利用するのが浸透圧の差です。
即ち、糖分の薄い方(果実)が糖分の濃い方(砂糖液)に引っ張られることで果実酒が出来上がるという仕組みです。
たとえば保存瓶に果実だけを入れて置いても果汁は出て来ませんよね。でもそこに糖分(砂糖)を加えると果汁が出てきます。
試しに切った果物に砂糖を振りかけて30分ほど放置してみて下さい。水分が出ていることが確認出来ますよ^^
アルコールに砂糖を加えた混合液と果実の浸透圧差で、混合液の中にゆっくりと果実成分を抽出していく訳です。
糖を加えることでアルコールの方が濃度が高くなり、濃度の高い方へと移動し同じ濃度になろうとする浸透圧を利用してより多くのエキスを抽出する、これが果実酒作りの砂糖が担う大きな役割です。
果実をただアルコールに漬けるだけでもエキスは出るには出ますが、出る量が少ないです。
そうして出来た果実酒を失敗作とするかどうかはその人の好みにもよりますが、きっと想像して作った果実酒の味には及ばない味わいになっていると思います。
あとでシロップなど甘みを加えて飲めば良いと思うかもしれませんが、甘みは足せても果実のエキスは足せないので旨味に乏しい果実酒となります。
糖分を入れないと果実にアルコールが浸透するだけで、旨味の素となる果実のエキスは殆ど出てきません。これが唐辛子みたいなアルコールに溶けやすい成分のものだったら砂糖を入れる必要はないんですけどね。
それでも出来るだけ砂糖を使いたくないなら…
とは言え、私みたいになるべく甘くない果実酒に仕上げたい人もいますよね。
その場合は「時間をかける」、これが果実の旨味を引き出す解決策です。
砂糖控えめにするとエキスの抽出不足になりやすいので、それをカバーするには長く漬け込むことが必要になってきます。1年越しで飲み頃になるものでも砂糖なしor低糖度の果実酒の場合は、おいしくなってくるには3年ほどかかります。
砂糖を使うか時間を使うか、判断はお好みで、ということになりますね。
果実酒に適した砂糖は?
なるほど果実酒を作る時にはただ甘くするだけじゃなくて果実のエキスを出す役割があったのかと解ったところで。
じゃぁどんな砂糖を使えば良いのか?砂糖なら何でも良いの?
砂糖と言っても色々ありますよね。上白糖、グラニュー糖、三温糖、ザラメ、黒糖、蜂蜜などなど…
それらの中で果実酒作りに向いているのは「氷砂糖」とされます。
どうして氷砂糖が良いのか?
それは、氷砂糖は結晶が大きいからです。
結晶が大きい氷砂糖は、その為ゆっくりと溶けていきます。このゆっくり溶けていく間に果実酒内の熟成が進みます。
水分などに物質が溶ける量には限界がありますよね。たとえば水に砂糖をたくさん溶かして飽和状態にした砂糖水に更に砂糖を加えると?もう溶けられる水がないので沈殿するだけですよね。
飽和状態になるともう砂糖も他の物も溶けなくなります。つまり、アルコールにすぐに砂糖が溶けてしまうと溶け出るはずの果実のエキスが溶け込みにくくなってしまうということです。
そこで「氷砂糖」の出番です。
氷砂糖はすぐに溶けずに徐々に溶けていきます。そうするとアルコールの糖度もゆっくり上がるので、砂糖とエキスの溶け込む量のバランスがとりやすくなるという訳です。
なので果実酒を作る時には氷砂糖を使うのが良いとされているんですね^^
ただし必ずしも全てに氷砂糖が適しているかと言うと決してそうではなくて、いちごみたいに浸透膜(皮)が薄い果実ならいわゆる白砂糖でもエキスは抽出しやすいです。梅やりんごみたいに浸透膜がしっかりしているものだと、お酒の糖分を徐々に上げて果実のエキスを取り出した方が香りやエキスが強くなります。
なので果実の種類によっては白砂糖で良いものも実際にはあります。
じゃぁ漬けるお酒はどう選ぶと良い?
>>果実酒はホワイトリカー以外で作れる?代用できるお酒の種類は何?
では実際に漬けてみましょう!
>>桃酒の作り方
果実酒以外での氷砂糖の使い方はこちら♪
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